福岡市民病院

リソースナース

認定看護管理

認定看護管理者(Certified Nurse Administrator)

認定看護管理者制度は、多様なヘルスケアニーズを持つ個人、家族及び地域住民に対して、質の高い組織的看護サービスを提供することを目指し、看護管理者の資質と看護の水準の維持及び向上に寄与することにより、保健医療福祉に貢献します。

認定看護管理者の資格は日本看護協会が認定しています。要件を満たして認定審査に合格することで取得できる資格です。審査合格後は認定看護管理者としての活動と自己研鑽の実績を積み、5年ごとに資格を更新しています。

患者・家族や地域住民に対しより質の高いサービスを提供できるよう、自身が管理する組織の課題を明らかにし、組織内の様々な部署や人に働きかけて、組織全体のサービス提供体制の向上に取り組みます。また、地域の組織間の連携を図るなど、地域全体の医療・看護に質の向上に努めています。

地域の財産である看護職を育てる「人材育成」も大きな役割です。多様性の時代に、個々の持ち味を生かした看護が展開できるよう、そして、看護の専門職として一人ひとりのキャリア支援に力を注いでいます。

 

認定看護師

がん化学療法看護

がん化学療法の進歩と適応拡大は著しく、多様化・複雑化しています。殺細胞性抗がん剤・分子標的薬・ホルモン療法・がん免疫療法と様々ある中で、安全で安心して治療を受けることができるよう専門性の高い看護実践を担っています。 患者さんや家族の支援はもちろん、治療に携わる看護師に対する相談や教育も行っています。患者さんや家族の思いに寄り添いながら、治療を決定し継続していく看護を提供します。

がん化学療法看護認定看護師
 

クリティカルケア認定看護師

クリティカルケア認定看護師としての役割は、高度・専門分化する医療をはじめ、変化する保健医療福祉環境の中で、特定看護分野において、熟練した看護技術と知識を用いて、水準の高い看護実践ができる認定看護師として、臨床現場における看護の役割の拡大と、看護ケアの質の向上が求められます。そのため、急性かつ重篤な患者の健康問題をアセスメントし、高い臨床推論力と病態判断力に基づいた重篤化回避及び早期回復に向けた実践を目指しています。クリティカルケア分野において、多職種と協働しチーム医療のキーパーソンとしての役割を果たせる能力が必要です。クリティカルケア認定看護師として救急科医師や救急・集中ケア認定看護師と連携することで、患者に寄り添ったクリティカルケア領域のリソースナースとして活動しています。リーダーシップを発揮し「判断力」「根拠ある実践」「責任感」をもってチーム力向上に向けたチームマネジメントを実践しています。

クリティカルケア認定看護師
 

感染管理認定看護師

感染管理認定看護師は、患者のみなさんや来院される方、病院職員など、医療に関わる全ての人々への感染リスクを最小限に抑える役割があります。その業務は、感染管理教育、職業感染防止、医療器具関連感染サーベイランス、コンサルテーション、ファシリティマネジメントなど多岐に渡っており、これらは対象者を感染から守るための活動です。活動を効果的に取り組むために、医師や検査技師、薬剤師、事務員らと組織横断的な連携を図っています。信頼できる療養生活のため安全で清潔な環境の整備や、感染対策研修会の実施など組織全体の感染対策の質向上を目指しています。また、他施設の感染防止対策チームと定期的にカンファレンスを行い、地域全体の感染対策の充実に努めています。

感染管理認定看護師
 

救急看護認定看護師

救急看護認定看護師は、緊急性や重症度を判断して突発的な外傷、急性疾患、慢性疾患の急性増悪などの様々な状況に対して救急処置を実践することが求められます。救急看護とは、患者の発症・受傷時から社会復帰するまでを看護する幅広い領域であり、ケアの方向性は、社会復帰を見据えて心身の障害を最小限にとどめることや、短い時間の中で患者の発するシグナルに気づき、迅速に対処していく能力が必要になります。また、患者やご家族の不安や苦痛を受け止めて寄り添える家族看護を実践し支援することを目指して活動しています。

救急看護認定看護師
 

手術看護認定看護師

高齢社会の到来により、様々な疾患を持つハイリスク重症患者や高齢者の手術が増加しています。手術看護認定看護師は、最新の知識と熟練した看護技術を基に個別的なケアの計画・実践を通して、手術侵襲の軽減と合併症の予防に努め手術後の回復促進へと繋げています。また、的確な情報提供によって医師等多職種と協働を図り、患者が安全に安心して手術が受けられるように手術チーム内の調整を行っています。

手術看護実践・教育を通して、術中だけでなく術前~術後にかけて手術に関わる看護スタッフを支援し、質の高い看護が提供できるよう取り組んでいます。

手術看護認定看護師
 

集中ケア

集中ケア領域では、生命の危機的状態にある患者さんや、急変・重症化リスクのある患者さんに対して、看護を提供します。患者さんは呼吸・循環が不安定であり身体的、精神的に苦痛が生じている状況にあります。集中ケア認定看護師として、熟練した知識と技術を用いて患者さんのフィジカルアセスメントを行い、急変徴候を察知し、重篤化と合併症を回避し、早期に回復できるよう看護実践を行うとともに、他のスタッフの役割モデルとなれるように努めています。そして、他職種とも連携しながらチームで個別性を配慮した看護を行っています。また、そのご家族もケアの対象者であると認識し、安心して患者さんとともに療養に向かえるように看護を行っています。さらに、集中ケア領域だけでなく、一般病棟においてもフィジカルイグザミネーション技術や人工呼吸器管理の勉強会を行い、スタッフが相談しやすい環境を作りながら、院内全体の看護の質が向上できるように励んでいます。

 

集中ケアイメージ

糖尿病看護認定看護師

糖尿病看護認定看護師として病棟に所属し、入院患者を中心に糖尿病教育や生活指導、を行っています。毎週水曜日は外来部門で、午前中に透析予防指導、午後からはフットケア外来を担当しています。

医師、管理栄養士、薬剤師などの多職種と連携し、糖尿病の合併症予防、進展防止の為に、日常生活の中で上手に血糖値をコントロールできる方法を、患者とその家族と共に考え、糖尿病治療に取り組めるよう支援させていただきます。

糖尿病看護認定看護師
 

認知症看護認定看護師

当院では、2017年11月から医師、看護師、社会福祉士、薬剤師の他職種で構成する認知症ケアチームができ、活動しています。認知症があると入院という普段と違う環境下や病気になった苦痛等の身体症状をうまく伝えられずに混乱し、治療やケアを拒否してしまうことがあります。私は、認知症認定看護師として認知症ケアチームの中心的役割を担い、患者さんが適切な医療やケアが受けられるようにスタッフからの相談や助言を行っています。また、病棟に属していますので実践を通して、認知症ケアの質向上にも努めています。認知症の診断がついていない患者さんに対しても、せん妄症状や認知機能低下による混乱があるときは長引かないよう対応しています。

認知症看護認定看護師
 

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師

脳卒中は突然発症し運動機能や高次脳機能など、何らかの障害を伴うことが多い病気です。患者・家族の不安や動揺は大きく、ライフスタイルにも影響を与えてしまうことがあります。脳卒中リハビリテーション看護認定看護師は、脳卒中急性期から的確なモニタリングとケアを実践し、1日でも早くその人らしい生活が送れるように、リスク管理を行いながら治療・看護を提供しています。また、再発予防のために継続治療や生活習慣の改善が必要となることも多いため、入院中から生活指導を行い、退院後の外来受診時にも継続的な指導を行っています。看護師に対しても質の高い看護を提供できるように指導教育を行っています。発症直後から生活の再構築に向けて、適切なケアを提供し、患者・家族の支えとなれるよう、チームを牽引し活動しています。

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
 

皮膚・排泄ケア認定看護師

当院には3名の皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍しており、1名は褥瘡管理者として、他2名は病棟で勤務しています。お互いに連携を取りながら活動しており、褥瘡発生予防ケアや既にある褥瘡のケア、ストーマを造設する患者の手術前後のケアや退院指導、失禁に関連するケアを行っています。ストーマケアではストーマに関するトラブルや生活の相談に対応しており、退院後も安心・快適に暮らせるよう継続して支援しています。

近年、高齢化が進み、様々な皮膚のトラブルが多く繊細なケアが要求されるようになりました。医療ニーズが高い患者に対して、円滑に在宅医療へ移行し安心・安全に生活できるようにするにあたり、退院前訪問指導や退院後訪問指導、皮膚・排泄ケア認定看護師の同行訪問を開始しました。在宅への移行を支援するだけではなく、入院中の患者指導が在宅でどのように活かされているのか、実際の在宅療養生活を確認し、入院中とは違う患者の表情や姿を見ることはケアの継続性を再確認する機会となり、入院中の看護ケアも充実できる可能性を感じました。看護を“つなぐ”地域支援病院としての役割を果たせるよう、個別性に応じた支援を行いたいと思います。

他にも、院内に限らず皮膚・排泄ケア領域の研修や講演、所属学術学会発表を行うなど地域医療関係者に対する教育的活動も積極的に行っています。

皮膚・排泄ケア認定看護師
 

退院後訪問指導の実際

皮膚・排泄ケア認定看護師イメージ01
皮膚・排泄ケア認定看護師イメージ02
専門看護師

がん看護専門看護師

がんの患者さんとご家族は、がん治療に関わる身体的な苦痛や気持ちのつらさ、仕事や日常生活のことなどの様々な悩みや不安を抱えて生活されています。その様々な苦痛や悩み、不安が軽減されるよう、チームで患者さんとご家族をサポートさせていただいています。

現在私は、外来に所属しており、がんの診断や治療説明に同席したり、患者さんが治療を受けながらも自分らしい生活が送れるよう地域医療連携室と協働で支援を行ったり、病棟と連携し、外来から病棟へ看護ケアがシームレスに提供できるよう支援を行ったりしています。また、当院看護師の看護の力が高まるように教育活動も行っております。

困りごとや不安など、一人で悩まずに何でも相談されてください。

がん看護専門看護師
 

特定行為に係る研修修了者

当院では、2023年3月現在で、13名が看護師の特定行為研修を修了しています。研修で学ぶ共通科目では、「臨床病態生理学」「臨床推論」「フィジカルアセスメント」「臨床薬理学」「疾病・臨床病態概論」「医療安全学/特定行為実践」を学習します。日ごろの看護に、学びである医学的な知識を加えることで、日々の看護実践能力を向上させることができています。特に、フィジカルアセスメントや臨床推論を活用し、アセスメント能力を向上させることは、異常の早期発見や問題点の抽出になるため、患者の安全に貢献しています。 区分別科目では「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」を3名、「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」を6名が修了しています。

特定行為による包括的指示を活用し、患者への早期介入やタスクシェア・タスクシフトを通して、医師の業務負担軽減になるように取り組んでいます。

 

栄養および水分管理に係る薬剤投与関連

特定看護師とは、2015年より厚生労働省が開始した「特定行為に係る看護師の研修」を修了した看護師のことをいいます。看護師の特定行為は、現在21区分38行為が定められています。実践的な理解力、思考力および判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修で、これまで医師にしかできなかった特定の医療行為(特定行為)を医師の作成した手順書により、看護師がタイムリーに特定行為を実施することができます。

当院では「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」1区分・2行為(持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整/脱水症状に対する輸液による補正)を令和2年度から開講しており、現在6名の特定看護師が所属しています。医療の高度化、複雑化が進む中、地域の基幹病院として質の高い安全な医療を提供するため、当院では様々な医療従事者が高い専門性を発揮しつつ、互いに連携してチーム医療を推進しています。特定看護師として、専門的な知識を活かしながら患者を適切にアセスメントし、より安全で安心した医療の提供ができるように努めています。

今後は、多忙な医師に代わり指示書をもと、タイムリーな治療介入が行えるように更なる知識と技術を身につけ、患者にとって最善の医療を提供できる一助を担っていきます。

特定行為に係る研修修了者

呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連

当院では、区分別科目で「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」を3名が修了しています。この特定行為を実践できるようになるために、e-learningで11時間、演習(OSCE)を4時間で学びを深めた後に、実際の患者さんに対し5事例を実施し修了しています。

この科目での学びを臨床看護の場面で活かしています。具体的な場面として、口頭咽頭周囲の解剖をイメージした身体所見から得られる情報の解釈、気管カニューレを使用している患者に対してのカニューレ管理やトラブル対応を実践しています。

特定行為である包括的な指示としての実践は、まだ到達できていません。2021年末現在では、実際の運用に支障を来たすことがないように手順書を詳細まで詰めています。同時並行で、手順書での運用を開始した際に、技術面で導入が遅れることがないように、医師の同伴のもとで気切カニューレの交換を実施させて頂いています。現状では、手順書を用いての運用までに、遠回りのように感じるかもしれません。しかし、所属する施設で医師に技術を確認していただけることは、実際の運用をスムーズに運ぶことになるとも考えています。

特定行為による包括的指示を活用し、医師の業務負担軽減に繋がること。また、看護師の役割でもある、「患者が安心して入院生活が過ごせること」ができるように、共通科目や区分別で得られた知識を活用できるように取り組んでいきます。

特定行為に係る研修修了者

その他
 
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