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薬剤部

 薬剤部には、現在薬剤師が15名在籍しております。医薬品のセーフティーマネージャーとして薬物療法の安全性の向上に貢献することを理念とし、医薬品の適正使用の推進のため活動しています。

セントラル業務の調剤、製剤、抗がん剤調製、および無菌調製に加え、病棟薬剤業務および薬剤管理指導業務に分類されるいわゆる病棟業務を行っています。また、麻薬、毒薬、向精神薬、および血液製剤等の管理業務、医薬品情報の収集・管理および院内周知を行うDI業務などにも携わっております。チーム医療の一員として、がん化学療法カンファレンス、糖尿病チーム、栄養サポートチーム(NST)、感染制御チーム(ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)、および認知症ラウンドなどにも積極的に参加しております。特にASTにおいては1名が専従薬剤師として参加しています。

薬剤部の業務状況

調剤業務

令和6年度の入院処方箋・外来院内処方箋の合計発行枚数は44185枚、および処方件数は93214件となりました。前年度と比較し、それぞれ2109枚および2849件減少しました。。

入院及び外来院内処方箋の枚数、件数の推移グラフ
外来処方箋枚数、院外処方箋発行率グラフ

令和6年度の院外処方箋発行枚数は24975枚で 昨年度比で760枚程度の減少となりました。一方で、院内処方箋は7639枚と170枚程度増加しました。院外処方箋の発行率は76.6%と前年度比で0.9ポイント低下しました。

令和6年度の注射処方箋枚数および件数は、それぞれ48261枚および151669件でした。前年度と比較してそれぞれ4760枚および13750件の大幅な増加となり、枚数・件数ともにここ数年で最も高い値となりました。

注射箋枚数、注射処方件数の推移グラフ

病棟薬剤業務、薬剤管理指導業務

病棟での業務は、主に薬剤投与前の薬学的管理に関する病棟薬剤業務と、主に投与後の管理に関する薬剤管理指導業務に分類することができます。

病棟薬剤業務の具定例として、持参薬鑑別、患者や家族との面談等による服用状況・副作用歴・アレルギー歴の確認、および患者に応じた処方提案などを挙げることができます。また、用法用量および注射薬の投与速度の確認や病棟ストック薬の管理、配薬カートのセット状況の確認等も含まれます。

薬剤管理指導業務では、服薬指導、薬歴管理、および医薬品情報管理等による患者のアドヒアランス向上、ならびに副作用の発現防止や早期発見に努めています。令和6年度も例年どおり各病棟の担当薬剤師を交代しました。今後も幅広い知識を有する臨床薬剤師の育成のため、定期的な内部異動を行いたいと考えています。

令和6年度の薬剤管理指導患者人数および指導件数は、それぞれ5476人および7020件となり、前年度とほぼ同等の値となりました。

薬剤管理指導件数、指導人数の推移のグラフ

製剤業務

院内製剤として、市販されていない薬剤を調製しています。一般製剤では、5%チオ硫酸ナトリウム液、3%ルゴール液、無菌製剤ではスーミン注等を調製しています。

令和6年度においては、一般製剤は1182件、および無菌製剤は93件となりました。

抗がん剤調製業務

抗がん剤は、平日、土日祝日を問わず入院、外来とも薬剤師が調製しています。抗がん剤の調製にあたっては、投与量、投与間隔、血液検査等の結果を確認し、必要であれば医師に疑義照会を行い、全件閉鎖式器具を使用し無菌的に行っています。当該業務には調製鑑査システムを導入しており、安全性と利便性の向上を図っております。また、専用ベッドサイドで服薬指導を行い、安全、安心な治療を受けて頂けるように努めています。当院では、化学療法委員会でレジメンの審査が行われ、薬剤師が承認されたレジメンの登録・管理を担っています。

  令和6年度の抗がん剤調製件数は、1692件(入院269件、外来1423件)と、前年度と比較し174件増加しました。昨年度の件数はいったん減少に転じたものの、本年度を含めここ数年の調製件数は高い水準で維持されています。

抗がん剤調製業務グラフ

医薬品情報管理業務

医薬品の最新情報、安全性情報、副作用情報などを収集・管理し、医療従事者や患者へ速やかに発信することで医薬品適正使用の推進を図っています。収集した情報は「DI News」にまとめ、電子カルテ掲示板へ掲載しています。また、緊急性や重要度が高い情報に関しては「医薬品ニュース」を発行し、医師、看護師、メディカルスタッフへ速やかに情報を伝達しています。令和6年度は「DI News」を 15回、「医薬品ニュース」を10回発信しました。また、医薬品の適正使用を促す勉強会も積極的に開催しており、令和6年度は新人看護師研修、病棟カンファレンス、化学療法勉強会、外部カンファレンスなど計22回開催しています。

薬剤部学習会

日進月歩の薬物療法に対応するため日々の研鑽が求められることから、定期的に学習会を開催しています。令和6年度は薬剤部症例検討会を50回実施し、部員同士で情報共有を行いました。外部講師による研修会も34回開催されました。

また、各種認定薬剤師等の資格取得を推進しています。令和6年度は、医療薬学指導薬剤師をはじめ、博士号や学会評議員を含む下記取得者が在籍しています。

福岡市民病院薬剤部専門認定等資格取得状況 2025.08.01現在

認定薬剤師等
医療医学指導薬剤師 1名
外来がん治療認定薬剤師 2名
抗菌化学療法認定薬剤師 2名
小児薬物療法認定薬剤師 2名
漢方薬・生薬認定薬剤師 1名
日本糖尿病療養指導士 2名
栄養サポートチーム専門療法士 3名
医療安全管理者養成研修 1名
日病薬病院薬学認定薬剤師 4名
日本薬剤師研修認定薬剤師 3名
認定実務実習指導薬剤師 4名
合計 25名
専門薬剤師
外来がん治療専門薬剤師 2名
医療薬学専門薬剤師 1名
合計 3名
その他
公認スポーツファーマシスト 1名
心不全療養指導士 1名
博士(臨床薬学) 1名
TDM学会 評議員 1名
合計 4名

プレアボイド報告(重篤化回避報告)

薬剤師が関与し、リスク回避あるいは軽減を達成した事例は医薬品安全管理委員会およびセーフティーマネージャー委員会へ報告し、職員へ周知することで同様の事例が発生することを未然に防ぐ活動を行っています。

令和6年度は、合計651件のプレアボイド事例を報告しました。プレアボイド事例の詳細を分析しますと、例年、処方提案に関するものが最多となっており、令和6年度では全体の3割程度を占めました。この中には、腎排泄型薬剤が腎機能低下患者に投与されるにあたって、腎機能に鑑み具体的な量を示して減量を提案した事例や、反対に過少投与となっていた処方において、十分量を提案したような事例が含まれています。次に多い報告は、規格、用法、処方量に関するプレアボイドです。令和6年度においては、全体の12%程度を占めました。処方重複においては、持参薬と院内処方の重複が多く認められました。令和6年度では、処方重複、中止すべき薬の指示もれ等、および処方忘れがほぼ同数となりました。割合は多くないものの、疾病に対し薬剤の使用が制限される病名禁忌や薬剤同士の併用禁忌に関するプレアボイドも報告されています

薬剤部プレアボイド報告(令和6年度)
内容 件数
処方提案 179
規格、用法、処方量等 77
重複 43
中止薬指示 42
禁忌 25
処方忘れ 41
中止薬剤の処方 20
副作用 15
相互作用、配合変化 7
配薬カート 8
その他 194
651

化学療法レジメン一覧

当院の外来化学療法委員会で承認された主なレジメンについて公開しています。

  • 地方独立行政法人 福岡市立病院機構 福岡市立こども病院
  • FCHO 地方独立行政法人 福岡市立病院機構 Fukuoka City Hospital Organization
  • MAGAZINE 広報誌 季刊誌FCH
  • (財)日本医療機能評価機構病院機能評価認定病院