福岡市民病院

肝臓外科(肝臓・胆のう・膵臓)

診療内容

肝胆膵センターでは肝臓、胆嚢、膵臓などに関する病気や悩みに対して解決できるように、外科、内科、放射線科が互いに連携を行い診断、治療にあたります。また、患者さんの治療にいかせるような新規手術手技の開発や臨床腫瘍学的研究も積極的に行い、学会、論文等に報告しています。

診療内容

肝臓 肝悪性腫瘍(肝細胞癌、肝内胆管癌、転移性肝癌など)、肝良性腫瘍(肝血管腫、肝腺腫、限局性過形成性結節など)、脾臓疾患(特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、肝硬変に伴う脾機能亢進症、脾腫瘍など)
胆道 胆のう癌、肝外胆管癌、肝門部胆管癌、十二指腸乳頭部癌、胆管内乳頭状腫瘍(IPN-B)、急性胆のう炎、胆のう結石症、胆のう腺筋腫症、総胆管結石
膵臓 膵癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵粘液性襄胞腫瘍(MCN)、膵漿液性襄胞腫瘍(SCN)、膵神経内分泌腫瘍(P-NET)、Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)、転移性膵腫瘍など)

診療実績

図1.2020年度肝胆膵外科手術の内訳
図1.2020年度肝胆膵外科手術の内訳グラフ

肝がんに対する外科治療

平成元年に福岡市民病院開院以来肝癌に対する外科治療は内科、放射線科と連携して治療を行っており、安心、安全、確実な治療を患者さんに提供するよう、福岡県における専門施設として重要な役割を果たしてきました。原発性肝がんに対しての肝切除術の長期治療成績は5年生存率52%、10年生存率26%と良好な成績を挙げています。また、必要に応じて肝動脈や肝静脈の合併切除・再建を必要とするような高難度肝切除術にも対応しています(図2)。

図2.肝動脈・肝静脈合併切除再建を伴う肝切除術
図2.肝動脈・肝静脈合併切除再建を伴う肝切除術イメージ

腹腔鏡下肝切除術

近年傷が小さくて術後の回復が早い腹腔鏡下手術(図3)が様々な臓器で行われています。肝臓癌、膵癌の腹腔鏡下手術の歴史はまだ浅く、2010年に腹腔鏡下肝部分切除・外側区域切除といった小範囲の手術がまず保険適応となり、2016年になりようやく肝葉切除等のより大きな範囲の腹腔鏡下肝切除術が保険収載された所です。これは肝切除そのものが難易度が高く、安全・確実に行うためには肝切除術・腹腔鏡手術両方の手技に精通している必要があるからです。そのため腹腔鏡下肝葉切除等の大きな肝切除術は一定の施設基準をみたす一部の施設でのみ行われています。

当院では2012年より腹腔鏡下肝部分切除を導入しており、また新しく2020年より肝亜区域切除、区域切除、葉切除等の高難度腹腔鏡下肝切除に対する施設基準も取得しました。2020年度は全肝切除症例の87%を腹腔鏡下に実施しています(図4)。

図3.腹腔鏡下肝切除術のイメージ
図3.腹腔鏡下肝切除術のイメージ図

腹腔鏡下高難度肝切除術においては主肝静脈を露出する操作が必要となり、難度も高く工夫が必要です。私達はこれを安全に実施するためにTwo-way resection、Outer Laennec Dissection等の独自の技術を開発し、学会等にて報告しています。

図4.年度別腹腔鏡下肝切除術症例数の推移
図4.年度別腹腔鏡下肝切除術症例数の推移イメージ

膵癌に対する腹腔鏡下手術と合併症対策

膵癌に関しても2016年より腹腔鏡下膵体尾部切除術が保険適応となり、当院でも実施しております(図5)。

図5.膵癌に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術
図5.膵癌に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術イメージ

膵癌は診断時に既に遠隔転移等により手術不能なことも多く、手術可能な症例は約2割程度といわれています。手術が施行されても再発率が高いことが問題ですが、近年では切除可能な症例でも術前・術後に化学療法を行うことで予後が改善することが明らかとなっています。しかし膵癌手術時の一番の問題は膵切除特有の合併症です。膵液瘻は腹腔内出血、敗血症等の重篤な合併症の引き金となり、高い周術期死亡率(2.9%: NCD Annual Report2012)の原因となっています。合併症が発生すると退院までに要する日数も延長し、術後補助化学療法が早期に開始できなくなることも予後を悪化させます。そのため、膵癌術後の合併症をいかに減らすかが重要です。前任地では様々な独自の工夫(膵体尾部切除術におけるClip on Staple法等)を行うことで臨床的膵液瘻の頻度を4.5%、重篤な合併症(Grade3以上)を0%にまで低下させることができました。また、我々が開発した膵体尾部切除術におけるClip on Staple法に関しては、その有効性・安全性を更に確認するため、当院が中心となり2020年11月より全国約20の施設・大学病院にて多施設共同ランダム化試験を開始しています。

図6.CLIP-DP trialの概要
図6.CLIP-DP trialの概要図
図7.膵体尾部切除術におけるClip on Staple法
図7.膵体尾部切除術におけるClip on Staple法イメージ

胆石、胆のう炎の手術

専門性の高い肝胆膵疾患に対する手術の中で、腹腔鏡下胆のう摘出術は唯一専門施設以外でも数多く行われている手術です。難易度の高い手術ではありませんが、胆のう炎の患者さんや開腹手術の既往のある患者さんに対する手術の際には高度な技術を要する場合があります。当院では上腹部手術既往や炎症の有無などに関わらずすべての良性胆のう疾患を腹腔鏡下手術の適応としており、2020年度以降は開腹移行例は1例もありません。また2021年3月には「胆石外来」を開設し、肝胆膵領域の腹腔鏡手術に関する豊富な専門的知識と経験をもとに、安全で確実な治療を行っています。

胆のうイメージ

胆のうの根部の細い部位(胆のう管)や胆管に落石すると痛みや炎症をおこしやすくなります。

炎症のない胆のう結石症手術イメージ

炎症のない胆のう結石症手術

急性胆のう炎の手術イメージ

急性胆のう炎の手術

医師紹介

医師紹介

名前 東 秀史(副院長)
出身教室 九州大学医学部第二外科
専門医・認定医

日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、
日本消化器病学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、
日本肝胆膵外科学会評議員、九州大学医学部臨床教授

専門分野

消化器外科、肝胆膵外科

モットー

常にチームワークで行う安心・安全な医療を心掛けています

名前 二宮 瑞樹(肝臓外科科長)
出身教室 九州大学医学部第二外科
専門医・認定医

日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、
日本肝臓学会指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、
日本がん治療認定医機構がん治療認定医、
日本移植学会移植認定医、
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、
日本肝胆膵学会評議員・高度技能専門医

専門分野

肝胆膵外科、内視鏡外科

モットー

患者さんに優しい医療を心掛けています

名前 武石 一樹
出身教室 九州大学医学部第二外科
専門医・認定医

日本外科学会専門医、消化器がん外科治療認定医、
日本消化器外科学会専門医、日本肝臓学会専門医、
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医、
日本肝胆膵外科学会評議員、日本移植学会認定医

専門分野

肝・胆・膵外科、消化器外科

モットー

患者さん一人一人に合った治療法を実践します。

  • 地方独立行政法人 福岡市立病院機構 福岡市立こども病院
  • FCHO 地方独立行政法人 福岡市立病院機構 Fukuoka City Hospital Organization
  • MAGAZINE 広報誌 季刊誌FCH
  • (財)日本医療機能評価機構病院機能評価認定病院