肝臓・胆のう・膵臓外科
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高度技能専門医・技術認定医が主導する安全・確実な手術
当院は日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医修練施設(肝胆膵外科のhigh volume center)に認定されています。当科には、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医を両方取得した医師が在籍しています。2026年には新たに当科医師が日本内視鏡外科学会技術認定医を取得しました。今後もさらに安全・確実な手術を提供するように努めます。
肝胆膵センターとしては、肝臓・胆道・膵臓に関する疾患に対して、専門性を持った肝臓・胆のう・膵臓外科、肝臓内科、放射線科が互いに連携し、診断・治療にあたります。最新の治療法を取り入れ、個々の患者さんに最適で過不足のない治療、安全・確実な医療を提供するように努めています。
また、当科は消化器外科として夜間・休日の消化管緊急手術を担当することがあります。
診療実績
表1. 2025年度 肝臓・胆のう・膵臓外科 手術症例数
疾患 術式 症例数
肝腫瘍 腹腔鏡下肝切除術 34 開腹肝切除術 3 肝嚢胞 腹腔鏡下肝嚢胞開窓術 1 胆嚢結石・胆嚢炎
・胆嚢ポリープ腹腔鏡下胆嚢摘出術 105 胆嚢癌 拡大胆嚢摘出術 1 胆道癌、膵頭部癌 膵頭十二指腸切除術 3 膵体尾部癌 膵体尾部切除術 2 腸閉塞・腹膜炎など 消化管緊急手術、体表手術など 16 計 165 肝癌に対する外科治療
1989年の開院以来、肝癌に対して、内科・放射線科と連携して安全・確実な治療を患者さんに提供するように努め、福岡県における専門施設として重要な役割を果たしてきました。肝細胞癌の治療は、肝切除術、肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼療法に加え、薬物療法(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など)が進歩し、多岐にわたります。当院では、個々の患者さんに対して、一つの治療法に固執するのではなく、最適で過不足のない治療を提供できるように、肝臓・胆のう・膵臓外科、肝臓内科、放射線科で毎週合同カンファレンスを行っています。肝切除術は年間約40例前後を施行し、県内でも有数の施設です。
腹腔鏡下肝切除術
腹腔鏡下肝切除術を安全・確実に行うためには肝切除術・腹腔鏡手術両方の手技に精通している必要があり、腹腔鏡下肝葉切除等の大きな肝切除術は一定の施設基準をみたす施設で行われています。
当院では2012年より腹腔鏡下肝部分切除を導入し、2020年より肝亜区域切除、区域切除、葉切除等の高難度腹腔鏡下肝切除に対する施設基準を取得しました。安全性・根治性・適応を検討し、腹腔鏡下肝切除術を施行しています。最近では約80-90%を腹腔鏡下に行っています(図1~3)。
図1.腹腔鏡下肝切除術のイメージ
図2.年度別肝切除術症例数の推移
図3.腹腔鏡下肝左葉切除術後の状態
腹腔鏡下高難度肝切除術においても、開腹手術と同じように主肝静脈に沿って肝切離を行い、支配Glissonを確実に処理する操作が必要であり、難度も高く工夫が必要です。我々は最新の腹腔鏡手術機材を導入し、ICGカメラを併用して、安全・確実に系統的切除を行うようにしています(図4)。
図4.肝切除の工夫 ICG negative stainingによる切除領域(阻血域)の描出
膵癌に対する腹腔鏡下手術と合併症対策
膵癌に関しても2016年より腹腔鏡下膵体尾部切除術が保険適応となり、当院でも安全性・根治性・適応を検討し、実施しています(図5)。
図5.膵癌に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術
膵癌は診断時に既に遠隔転移等により手術不能なことも多く、手術可能な症例は約2割程度といわれています。手術が施行されても再発率が高いことが問題ですが、近年では切除可能な症例でも術前・術後に化学療法を行うことで予後が改善することが明らかとなっています。
膵癌手術時の問題は膵臓手術特有の術後合併症です。特に膵液瘻は腹腔内出血、敗血症等の重篤な合併症の引き金となり、膵臓手術後の高い死亡率(1.7-2.9%: Annual Report on NCD 2020)の原因となっています。合併症が発生すると退院までに要する日数も延長し、術後補助化学療法が早期に開始できなくなることも予後を悪化させます。当施設では様々な独自の工夫(膵体尾部切除術におけるClip on Staple法等)を行うことで膵液瘻の頻度を低下させてきました。当施設が開発した膵体尾部切除術におけるClip on Staple法(図6)に関しては、その有効性・安全性を更に確認するため、2020年11月より全国約20の施設・大学病院にて多施設共同ランダム化試験を行い、その有用性が論文に報告されました(Ninomiya M, et al. Ann Surg Open. 2026)。
図6.膵体尾部切除術におけるClip on Staple法
3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」をv7.2に更新
当科では、3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」v7.2を活用して、安全・確実な手術を提供するように努めています。
◎肝臓を変形させながら血管走行などを観察できる「+肝臓変形機能」を活用し、術中の変形までも想定した詳細な肝切離シミュレーションを行うことが可能です(図7)。
図7.+肝臓変形機能
◎膵臓は腹部の奥深くに位置し、周囲血管・臓器との位置関係が複雑です。これを立体的に把握しておくことが安全・確実な膵臓手術を行うために重要です。今回の更新で、この「膵臓解析」が可能になりました(図8)。
図8.膵臓解析
◎「空間再現ディスプレイ」を導入し、目の前に臓器があるかのような3D画像を見ることができます。これにより、より立体的でリアルな手術シミュレーションを行っています(図9)。

図9.空間再現ディスプレイ
胆石、胆のう炎の手術
腹腔鏡手術を第一選択として、主に胆嚢結石症・胆嚢炎に対する胆嚢摘出術を行っています。炎症がない、あるいは軽度の場合、手術自体の時間は1~2時間程度で済み、ほとんどの場合で開腹移行は必要ありません。しかし、高度の炎症が認められる場合は解剖が不明瞭で、組織が硬くかつ脆弱・易出血性であるため、時間がかかりますし、合併症(胆管損傷、胆汁漏、出血など)のリスクが高くなります。炎症の程度によって手術の難易度は大きく異なりますので、安全・確実な手術を行うように努めています。
総胆管結石に対しては、円滑な連携のもと肝臓内科で内視鏡的治療(胆管ステント、採石など)を行い、当科で胆嚢摘出術を行います。
2021年3月には「胆石外来」を開設し、肝胆膵領域の腹腔鏡手術に関する豊富な専門的知識と経験をもとに、安全・確実な医療を提供するように努めています。急性胆嚢炎の場合、手術までの期間があまりに長くなると、手術の難度が上がります。随時、紹介を受けていますので、急性胆嚢炎でお困りの際は、ご紹介いただけますと幸いです。また、胆石症でも、一回でも胆石発作がある患者さんは、急性胆嚢炎を発症するリスクが高くなります。特に結石が小さい場合は、結石の嵌頓や胆石性胆管炎を発症する可能性が高くなりますので、胆石発作の既往がある患者さんは、早めの受診をお勧めください。
胆のうの根部の細い部位(胆のう管)や胆管に落石すると痛みや炎症をおこしやすくなります。
炎症のない胆のう結石症の手術
急性胆のう炎の手術
- 医師紹介
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医師紹介
名前 森田 和豊(肝臓・胆のう・膵臓外科科長) 出身教室 九州大学医学部第二外科 専門医・認定医 日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医・評議員
日本内視鏡外科学会 技術認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本移植学会 移植認定医
日本肝臓学会 肝臓専門医専門分野 肝胆膵外科
モットー 個々の患者さんに適した医療を心がけます。
名前 小齊 侑希子 出身教室 九州大学医学部消化器・総合外科 専門医・認定医 日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本移植学会 移植認定医
日本肝胆膵外科学会 評議員専門分野 肝胆膵外科
消化器外科モットー 安全な診療のため、柔軟性をもって一生懸命がんばります。





