福岡市民病院

消化管外科

診療内容

消化管センターとして、消化管内科と共に消化器疾患の治療を行っています。 食道癌, 胃癌, 大腸癌に対しては、手術, 化学療法, 放射線療法(他院と連携)を組み合わせた集学的治療によって、各症例に対して最適な治療法を提案しています。 化学療法は、外科・内科・薬剤部・がん専門看護師・栄養士によるカンファレンスを毎週行い、個々の症例に対する治療戦略を検討しています。

2020年4月に設立した食道疾患センターでは、食道悪性腫瘍のみならず、食道良性腫瘍や食道裂孔ヘルニア、胃軸捻転、難治性の逆流性食道炎などに対する手術を行っています。 その他、鼠径ヘルニアや尿膜管遺残、正中弓状靭帯圧迫症候群といった症例に対する腹腔鏡手術も積極的に行っています。
急性虫垂炎や腸閉塞などの救急疾患に対しても24時間対応しています。

根治性・安全性・低侵襲性の追及

当科の方針・目標として、根治性はもちろんのこと、安全性と低侵襲性を追及します。

  1. 食道癌

    胸部食道癌に対しては、胸腔鏡・腹腔鏡を用いた手術を基本術式としています。反回神経の確実な温存と徹底的なリンパ節郭清、胸部操作時間の短縮を目指した方法(再建先行術式, 左反回神経テーピング法)をとっており、第32回 日本内視鏡外科学会総会、第75回 日本食道学会学術集会で発表しました。

    当科の執刀医は現在まで300例以上の食道癌手術に携わっており、術者として100例以上を経験しています。

    頚部操作で左反回神経テーピング

    頚部操作で左反回神経テーピングイメージ

    胸腔鏡操作での左反回神経周囲郭清

    胸腔鏡操作での左反回神経周囲郭清イメージ

    左反回神経周囲郭清 完了時

    左反回神経周囲郭清 完了時イメージ

  2. 食道胃接合部癌

    近年増加傾向にある食道胃接合部癌に対する手術は、術後の逆流症状のコントロールが重要な課題です。当科では逆流の起こりにくい術式として、まず“観音開き法(Double flap 法)”による再建を導入し、現在は“Single flap 法”で再建を行っています。
    術後 6ヶ月時点の内視鏡検査にて逆流性食道炎を認めず、良好な成績が得られています。


    Single flap法のための残胃操作
    Single flap法のための残胃操作イメージ
    下部食道噴門側胃切除術
    Single flap法再建
    下部食道噴門側胃切除術 Single flap法再建イメージ

    術後6ヶ月 内視鏡所見
    術後6ヶ月 内視鏡所見イメージ
  3. 胃癌, 大腸癌

    開腹術・腹腔鏡手術という術式の違いに関わらず、原発巣の完全切除と徹底したリンパ節郭清が根治性を追求するうえで最も重要と考えています。同時に神経・血管を可及的に温存し、可能な限り臓器機能を温存するよう努めています。

    左肝動脈が左胃動脈から分枝する症例に対する郭清

    左肝動脈が左胃動脈から分枝する症例に対する郭清イメージ

    腹腔動脈周囲リンパ節転移症例に対する徹底郭清

    腹腔動脈周囲リンパ節転移症例に対する徹底郭清イメージ

    左結腸動脈、上直腸動脈を温存した郭清

    左結腸動脈、上直腸動脈を温存した郭清イメージ

    大動脈周囲リンパ節転移症例に対する徹底郭清

    大動脈周囲リンパ節転移症例に対する徹底郭清イメージ

  4. 良性疾患

    急性虫垂炎や鼠径ヘルニアに対しては、そのほとんどを腹腔鏡手術で行っています。
    正中弓状靭帯圧迫症候群(腹腔動脈起始部圧迫症候群)や、13cm大の巨大食道脂肪腫といった大変希少な症例に対する手術も鏡視下で行い、学会報告しています。
    (日本消化器外科学会、日本食道学会)

    腹腔鏡下正中弓状靱帯切除術

    腹腔鏡下正中弓状靱帯切除術イメージ

    胸腔鏡下食道脂肪腫核出術

    胸腔鏡下食道脂肪腫核出術イメージ

食道疾患センターの現況

2020年4月1日より福岡市民病院 食道疾患センターを設立しました。
食道悪性腫瘍のみならず、食道良性腫瘍や食道裂孔ヘルニア、難治性の逆流性食道炎など幅広く対応しています。
御紹介いただく食道疾患症例数は年々増加しており、特に食道悪性腫瘍を多く御紹介いただけるようになりました。

手術を行わずに化学放射線療法で完全奏効が得られた症例も複数あり、各症例に対して最適な治療法を提案・実施しております。
良性疾患に対しては内科的治療を第一選択としますが、難治性の症例や手術が望ましいと判断される症例に対しては、積極的に低侵襲手術を行っております。
食道疾患にお悩みの患者さんや、どこに紹介しようかと迷われる先生方にとって、安心して検査・治療をお任せいただけるセンターとなるよう、これからも努力してまいります。

食道疾患としてご紹介いただいた症例数
疾患 2018年度 2019年度 2020年度
食道悪性腫瘍 5 15 19
食道良性腫瘍 2 3 0
逆流性食道炎 22 14 12
食道裂孔ヘルニア 0 0 3
1 1 3
計(症例数) 30 33 37
科学放射線療法にて完全奏功が得られた症例
科学放射線療法にて完全奏功が得られた症例イメージ
食道良性腫瘍に対する切除術
食道良性腫瘍に対する切除術イメージ
医師紹介

医師紹介

 
名前 東 秀史(副院長)
出身教室 九州大学医学部第二外科
専門医・認定医

日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、
日本消化器病学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、
日本肝胆膵外科学会評議員、九州大学医学部臨床教授

専門分野

消化器外科、肝胆膵外科

モットー

常にチームワークで行う安心・安全な医療を心掛けています

名前 西田 康二郎(消化管外科科長)
出身教室 九州大学医学部第二外科
専門医・認定医

日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、
日本食道学会食道科認定医

専門分野

消化器外科、一般外科

モットー

患者さんの立場に立った医療を心がけます

名前 西村 章
出身教室 九州大学医学部第二外科
専門医・認定医

日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、
日本がん治療認定医機構がん治療認定医、
日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)

専門分野

消化器外科

 

診療内容についてのお問い合せ先

福岡市民病院 外科 TEL:092-632-1111(代表)

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